【ステージ引上げ】好調のいま、なぜ「規模追求型」へ舵を切るのか?|ユナイトアンドグロウ(4486)
オープニング:2026年12月期第2四半期は上期ベースで過去最高を更新

矢野愛実氏(以下、矢野):今回取り上げるのは、中小企業のコーポレートIT、いわば会社の情報システム部門を丸ごと支える事業を展開されているユナイトアンドグロウです。2026年12月期第2四半期の決算は、売上高・営業利益ともに上期ベースで過去最高を更新。さらにこのタイミングで、これまでの自然体の成長、いわばオーガニックな成長から、提携やM&Aを活用したインオーガニックな成長へと軸足を移し、地方展開・規模追求へ大きく舵を切ると発表されました。
今日はこの過去最高の中身と、なぜ今スタンスを変えるのか、その狙いをじっくりうかがっていきます。改めまして、東証グロース市場、証券コード4486、ユナイトアンドグロウ株式会社より、代表取締役社長の須田騎一朗さんにお越しいただきました。須田さん、本日はよろしくお願いいたします。
須田騎一朗氏(以下、須田):よろしくお願いします。初めまして。
矢野:初めましてですね。まずユナイトアンドグロウさんは、シェアード社員という独自の仕組みで中堅・中小企業のIT人材不足を解決されている企業さんということで、早速なのですが、御社の事業内容についてさらに詳しく、株式投資の初心者の方にもわかるようにご説明いただければと思います。
事業内容:中堅・中小企業のIT人材ギャップを埋める「シェアード社員」

須田:わかりました。話は20年ぐらい前に遡るのですが、私は中小企業が大好きだというのが1つあります。そこをお助けしたいということで創業しました。
中堅・中小企業を助ける時に、何で助けたらいいかというところで、大きなギャップが1つありました。それはITを活用するという時に、会社の中にそれにふさわしい人材がなかなかいないということです。なおかつ、中小企業のITを支えたいという素晴らしい人材も、市場に全然いません。
ここに能力のギャップもありますし、お客さまからするとなかなか高いコストを払えないという、支払いの問題もあります。この問題をなんとか埋められないかということで、ちょっと無謀だったのですが、とにかく素晴らしい人材をどこかから集めてきて、その人たちで1つの集団として、中堅・中小企業をITの側面から支えたいということで始めました。現在も同じことをやっています。
矢野:すごいですね。もうずっと一貫して、その中小企業、中堅企業のIT部門をサポートするのを一貫してやられている。
須田:そうですね。いろいろなところを見に行きますと、もちろん素晴らしい人材がITを担ってらっしゃる会社もあるのですが、それは本当に100社か1,000社に1つぐらいで、残りはなかなか難しいというのが現実です。
シェアード社員の仕組み:10名規模のIT人材を時間単位でシェアリング

矢野:「シェアード社員」というのが結構キーワードかと思うのですが、どんなもの、どんな社員の方々なのですか?
須田:画面に出ているかもしれないのですが、私たちがとにかく優秀、素晴らしいという人材を集めて、その人たちが現場に行きます。オンラインではなくお客さまの組織に直接出かけていって、月曜から金曜まで張り付いている場合もありますから、その場合はそこの企業さま1本に集中して、社内のITを支えていくということです。
ただ、実際にはITにはいろいろなテーマがあります。インフラの関係とかセキュリティ関係とか、業務をコントロールするさまざまなアプリケーションだとか、あとは1人ひとりの社員さまをお助けするためのヘルプデスクと呼ばれるような業務であるとか。それから、その事業を伸ばしていく時にどういうITをどう使えばいいかという計画を考えたり、経営者と一緒になってIT活用をデザインしていくというお仕事もあります。
また最近は情報セキュリティですね。これは非常に難しいテーマになっています。
矢野:そうですね。
須田:そしてAIの活用となりますと、もうめちゃめちゃ幅広いので、1人で全部やりますというのは現実的に不可能なのです。ですので、どんな中堅・中小企業さまでも、できれば10人ぐらいは必要なのですが。
矢野:そんなに必要なのですね。
須田:はい。ただ10人揃えるとなると、売上で100億円以上とか、数百億円が必要だったりしまして、なかなか難しいのです。それであれば、私たちがさまざまな専門性を持っている若手からベテランまでを揃えていますので、その人たちの時間を少し分割してシェアリングする。10人ぐらいが絡んでいくのだけれども、1人当たりは月20時間だったり、50時間だったり、あるいはこの時期にはフルタイムで行くのだけれども、一定のプロジェクト的なお仕事が収束してきたら時間をどんどん減らしていくとか。
そのように柔軟にチームを入れ替えたり、増えたり減ったりということができますよ、という便利なサービスを作っているということですね。
矢野:幅広くIT部門に詳しい社員の方々をアサインできるような仕組みですね。
須田:絵に描くととても簡単なのですが、これは現実にはめちゃめちゃ難しいです。
矢野:そうなのですか。
須田:そもそもお客さまに合っている専門家をうまく配置しなければ意味がないですし、人間というのは時間が常に限られていたり、能力的にも「何でもできます」という人はいませんから、うまく助け合ったりしなければいけません。
しかも、このメンバーは全て正社員雇用になっていますから、ある程度売り切れないと困ってしまうわけですよね。時間が余れば在庫になってしまいますし、コストになりますので。上手にシェアード社員が常に売り切れている状態を作りながら、お客さまのニーズに合致させなければいけないということです。
矢野:確かに、結構難しそうですね。
正社員雇用にこだわる理由:長期の経験が付加価値になる専門職
矢野:派遣社員さんとはまた違いそうですね。
須田:そうですね。組織に入って組織を支えていく人材ですから、やはり正社員雇用が適切なのです。他の派遣の契約であるとか、フリーランス契約だとかはあまり向いていません。できれば10年以上の経験が欲しいのです。
なるべく短期間ではなくて、10年、20年、30年とこの職業に集中している人材のほうがお役立ちできますし、そうするとさまざまな業態の、あるいは成長ステージのパターンのクライアントの様子を学習できます。
矢野:なるほど。
須田:それが1人ひとりの非常に強い強みになりますね。ですから、長期雇用でないと難しいということでございます。
矢野:ありがとうございます。
2026年12月期2Q累計:売上高27.1パーセント増、営業利益45.3パーセント増

矢野:決算内容を早速うかがっていきたいと思います。2026年12月期の第2四半期決算ですね。こちら、上期として過去最高の業績だったということで、まず全体の数字から教えていただけますか?
須田:はい。これは上期の昨年度比較ですね。売上高が27パーセント増加しました。それから営業利益は45パーセント増加しました。また通期計画進捗率ということでは、営業利益では58.7パーセントを既に進捗しているということです。
少しずつ人数を増やしながら売上を増やしていきますから、上期で50パーセントを超えているのは、おそらく初めてだったと思いますね。
矢野:そうなのですね。
須田:ありがたいことに、いろいろなバランスが現在取れておりまして、良い結果が出たということでございます。
増益の背景:価格改定と全員の経験値向上による付加価値の上昇
矢野:成長率で言いますと、売上が27.1パーセント増に対して営業利益45.3パーセント増と、かなり営業利益の伸びが素晴らしいなと思うのですが、利益の成長率が伸びた背景はどんなことがあるのでしょうか?
須田:一番大きな要因は、ここのところ3年ぐらい取り組んでおりました価格の改定ということで、値上げをさせていただきまして、その値上げの幅に応じた人の動き方、これを調整してきたのが一番大きな要因ですね。
矢野:なるほど。
須田:あとは、もう全員の経験値が毎年上がっておりますから、付加価値は少しずつ少しずつ上がっていくということでございます。
矢野:なるほど。価格改定もしつつ、さらに付加価値も上がってきているというところですかね。
須田:そうです。
顧客継続率は80パーセント、シェアード社員定着率は90パーセント台

矢野:価格改定をされると、やはりちょっと心配になるのが、お客さまが離れていってしまうのではないかというところが懸念点としてはあるのですが、どうでしょうか。お客さまの継続率であったり、シェアード社員さんの数も増えているということなので、シェアード社員さんの継続率は今どのような状況でしょうか?
須田:顧客の継続率は1年経った時に80パーセントということになっております。これはずっと安定的ですね。100パーセントにはなかなかなりません。スポット的なお仕事を受けて、そのスポットのお仕事が終わると一旦収束ということもあるので。
これを90パーセントぐらいに上げていきたいということで、今さまざまな複合的なサービスを開発しているところです。専門特化したサービスですね。
情報システム部門を総合的に助けますよ、というのに加えて、こちらの図で言えば、会計ITに特化しているとか、内製開発に特化しているとか、ITのインフラに特化しているというサービスがありまして、通常よりも深掘りしています。そういったものをご提案することで、お客さまとの関係を5年を10年、10年を20年というようにつなげていきたいというのが1つあります。
それからシェアード社員の定着率ですが、今90パーセントから、90パーセントを少し超えるぐらいです。こちらもさらに、少しでも上げていきたいと考えています。
先ほど説明しましたが、この情報システムの仕事はすぐには役立たないのです。5年、10年継続していると役立ち度が高くなり、また20年、30年やってきますと、さらに付加価値が上がっていくという専門職です。なるべく多くの方がですね……なかなか困難なのですが、大企業の案件であれば初めから縦割りで専門職を深めていくということですけれども、中堅・中小企業ですと、本当に総合的な仕事になるのです。さまざまな分野を同時に推進していくので、エンジニアというよりは、本当にITに幅広く詳しい仕事の推進役みたいな感じになります。ですので、成長するのに長い時間がかかります。本来はコンサルタントの仕事の仕方にそっくりです。
矢野:なるほど。経営をどんどんIT部門から前に進めていくような仕事ですね。
須田:それを徹底的にやりますよ、ということになります。
今後の価格方針:インフレとスタッフの力量向上に見合う料金体系へ
矢野:価格改定をされて、お客さまの継続率も80パーセントということなので、そこまで影響は出ていないのかなという感じがするのですが、今後も価格改定を継続されていくような方針はあるのですか?
須田:そうですね。1つはインフレですよね。それともう1つは、私たちのスタッフの力量がどんどん上がっていくので、それにふさわしい料金体系が常にいります。
それによって、お客さまのより経営に非常に近しいところでの問題解決に当たっていくことができれば、高めの金額をいただいたとしても、それ以上に5倍、10倍のお客さまに対する経済効果が出ますから、そのようなかたちで私たちも成長していきたいと思っています。
矢野:ありがとうございます。
特化型サービス:需要ではなく、スタッフの成長方向と顧客の困りごとから組み立てる
矢野:ちなみに、もう1つお聞きしたいのですが、特化型サービスで結構、分野を細分化されているということなのかなと思うのですが、一番需要のある分野ってあるのですか?
須田:これはですね、需要に合わせているというよりか、スタッフの成長したい方向性に合わせているというのが1つ。あと、私たちは人間を中心としたサービスしかやっていないので、お客さまのお困りごとにリアルタイムで合わせているという、2つの面から出来上がってきています。
ですので、「こういう需要がこういうふうに伸びるからこっちに人を育てるんだ」とか「営業するんだ」ということは、実はないのですね。
矢野:なるほど。お客さまの需要と、社員さんの成長したい分野に合わせて、というところなのですね。
須田:そうですね。もう常に柔軟に私たちも変化していきますし、また1人ひとりの得意・不得意だとか、こういう方向性で学びたいというニーズもありますよね。これをうまくマッチングさせている感じですね。
矢野:なるほど。ありがとうございます。
立ち位置の再定義:「自然体型の高成長企業」から「規模追求型企業」へ

矢野:続いて、今回大きなトピックスとなっている立ち位置の再定義についてもおうかがいしていきたいと思います。
須田:今まではかなりコンサバティブにやっていました。
矢野:結構、保守的な感じで。
須田:そうですね。非常に利益を出すのが難しい事業モデルだというのもありましたし、良き人材をしっかりと育成しなければいけないというのもあったので、上場準備を機に東京都心に集中、そしてやることはもう人間中心の仕事だけに集中ということでやってきました。
おかげさまである程度の実績も上がってまいりましたので、次のステップに進もうということです。この図で言うと、今までは「自然体型の高成長企業」ということで、おかげさまでお客さまはもう自然に集まる。こちらから営業活動は何もしていないのですね。ある程度の評判と、スタッフの優秀さで自然とお客さまが集まる。ありがたいことなのですけれども。
ここからさらに挑戦していこうということで、今後は「規模追求型の企業」にさらに衣替えをしていくというのが、今回新しく発表したことでございます。
方針転換の背景:スタッフの力量と成長ニーズの高まり
矢野:方針転換された背景ってどんなことがあるのですか?
須田:機が熟したということなのですが、集まってきたスタッフの力量がだいぶ上がってきたということ。そして、そのスタッフのニーズに応えていくというのが基本ですね。
お客さまのお困りごとというか、困っているお客さまは、もともと全国にありますし、東京都内でも何千社とあることはわかっているのですが、集まってきてくれた優秀なスタッフの分しかお助けできません。そこは仕方がないということでやってきたのですけれども、だいぶスタッフの成長ニーズが高まってきたので、やっとできるかなということですね。
縦の成長:専門特化型人材と経営に直結する仕事の拡大

須田:図のほうですね。縦軸、横軸があったと思うのですが、今までもやってきたので、急に方針が丸ごと変わったというわけではないのですが、縦方向で言えば、専門特化型の人材をさらに増やしていく。そして、経営にもっと直結していくようなお仕事についても、現在もやっているのですけれども、さらに増やしていくというのが縦方向の成長ですね。そのための人材も積極的に採用します。
横の成長:東京都心部を軸に、全国へ拠点を広げる
須田:横方向の成長は、まずエリアということで、東京都心部一極集中からですね。それは変わらないのですけれども、東京都心部でまだ桁違いのマーケットがあることはもうわかっているので、ここを中心に伸ばします。
その上で、スタッフの成長機会を増やすということで、ここでは大阪、名古屋、福岡、仙台、札幌と仮に書いてありますけれども、全国に拠点を作り、地方のお客さまにもお役立ちをしていくということです。
もう1つは、こうやって横の方に展開してきますと、業種も増えると思います。今、当社の主要なお客さまは、やはりベンチャー企業さまなのですよね。上場間もない企業さまだとか、あるいは大企業さまの会社で新規事業を伸ばしている小さな企業さまとかがやはり多いです。
そういった新しい、ソフトな会社ですね。ハードな製造業とか物流とか、そういうものよりも、新規事業的なところのお客さまサポートが多いのですけれども、地方展開していきますと、逆に旧来型の産業ですね。本当に製造業中心に、物流であるとか医療であるとか、学校だとか、さまざまな社会インフラ系の会社さんで素晴らしいところがあると思うのです。そういったところをサポートしなければいけないので、業種の広がりというのもこれから出るなと。
矢野:なるほど。そうなっていくと、もともと東京で集中されていた今までの支援とはまたちょっと違うような。
地方展開で変わる支援内容:最新ITではなく業務のデジタル再構築へ
須田:全然違いますよね。今までは割と流行りのITを使っている会社さんばかりだったので、ちょっと前で言えば、いち早くSlackを使うとかNotionを使うとか、Salesforceを徹底的に深掘って使っているとか、そういったケースが多かったです。
けれども、製造、物流、食品卸関係では、そんな最新のITを使えばいいという話でもないですよね。仕事の流れをどのようにデジタルにまとめ直して、そこにどういうAIを組み込んで、よりその生産性を上げていくかみたいな話になるので、なかなか難しいというか、若手のメンバーにとってはチャレンジしがいのあるテーマかなと思っています。
矢野:東京で働かれている方が、こういった大阪、名古屋、福岡などに移動されてサポートされていくのか、それとも現地でまた採用されていくのかというと、どうなのでしょうか?
人員配置は手挙げ方式:「行きたい人が行く」で増やしていく
須田:両面ですけれども、当面は現在の私たちの社員の中で手を挙げた人がそこに行くという流れです。
矢野:おお、そうなのですね。
須田:「行きたいです」という方が。あらかじめ計画して、何人かを指名して送り込むということは別にしませんので、行きたいという人が行って、その人がまた「行きたいです」と誰かに言われるので、「じゃあおいでよ」と言って、だんだん増殖していくというイメージですね。
アップデート社との資本業務提携:エリア拡大の第1弾は宇都宮

矢野:直近ですね、提携先を見つけられたということで、資本業務提携を発表されたかと思うのですが、それについてもお話しいただければと思います。
須田:もう1つ戦略としまして、もちろん私たちが自らゼロから拠点を立ち上げていくということもありますけれども、すでにそこに存在している素晴らしい会社があった場合には、ぜひ仲良くさせてくださいということですね。
とにかく、お支えしなければいけない中堅・中小企業は万単位でありますので、とても私たちの採用のスピードだけでは間に合わないですし、それで日本全体が良くなるかというと、そんなことはないと思っております。ですので、提携できそうな企業さまとは一緒に手を組んで、過去1,000社以上サポートしてまいりましたので、そこで得られた知見をそういった企業さまにもご提供したり、また地域で展開する場合にはどういうところが大事かということを私たちも教えていただいたりして、このシェアード社員的な仕事の仕方をさらに広げていきたいということです。
その第1弾として、宇都宮のアップデートさまと資本業務提携を結ばせていただきました。
通期見通し:上期は計画超過も、通期計画は据え置き

矢野:続いて、見通しについてもおうかがいできればと思います。
須田:おかげさまで、上半期は計画以上の成果が出ました。ということで、この延長で下半期も推移できるだろうとは思っておりますが、一応見込みとしましては、通期の計画どおりで、今、見込みとして出させていただいております。
矢野:なるほど。上期が計画を上回るペースで進みまして、その上で地方展開という次の種ももう蒔かれているというところなので、今後がますます楽しみになりました。ありがとうございます。
須田騎一朗氏からのご挨拶
須田:シェアード社員という事業モデルで、中堅・中小企業さまを人間力でお支えするというのが当社のコンセプトですが、これはまったく変わりません。今後は全国に知られた会社となることで、しっかりとブランドを構築し、より多くの人材に率先してユナイトアンドグロウを選んでいただくことで、全国の中堅・中小企業を支えるナンバーワンカンパニーにしっかりとなっていきたいと思っております。
ぜひ、投資もご検討ください。よろしくお願いいたします。